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デジタル教科書普及に追い風?平井デジタル改革担当相「教科書、原則デジタル化を」

以前からパソコン、タブレット用のデジタル教科書はありましたが、教師用デジタル教科書(1教室に1つ)に比べ、児童用デジタル教科書(1人ずつ)は全く普及していませんでした。

これは、いくら紙の教科書に比べて

等のメリットがあっても

という課題があったためです。

「紙の教科書を無償配布するコスト(税金)を考えると、1人1台端末をリースし、その中にデジタル教科書をインストールしても同じくらいのコストで実現できるのではないか。」
と私は10年くらい前から各方面に訴えていたのですが、賛同者は多くはありませんでした。

しかし、教科書のデジタル化が実現しそうな機運がでてきました。

平井卓也デジタル改革担当相は6日の閣議後記者会見で、小中学校で使う教科書を原則デジタル化すべきだとの考えを示した。2日に河野太郎行政改革担当相を交えた3者会談を行い、萩生田光一文部科学相に提案。
国が進める1人1台のパソコン配備などの環境整備を前提に「デジタルファーストは時代の要請だという共通認識を持てた」と明らかにした。  

平井氏は記者会見で、子どもたちが端末に習熟するきっかけになるとの期待感を示した上で、教科書を「何冊も抱えて移動するよりはパソコン1台のほうがいい。効率性を考えたときにプラスだ」と説明した。

2020年10月6日 共同通信(Yahoo!ニュース)「教科書、原則デジタル化を 平井担当相『時代の要請』」

しかし、Yahoo!ニュースのコメント欄を見ると、多数の反対意見が載せられています。

これらのコメントは誤解や、教育現場への無理解が元になっているように思います。

学習者用デジタル教科書は多機能「紙のものをたたPDF化してペーパーレス」という懸念が載っていましたが、現在発売されている学習者用デジタル教科書はかなり多機能です。デジタル教科書には既に10年以上の歴史と蓄積があるのです。例えば

などです。

参考:東京書籍デジタル教科書サンプル

そして、デジタル教科書一辺倒になるのではなく、紙の教科書との併用になるでしょう。
現状でも、2018年5月の「学校教育法等の一部を改正する法律」により、2019年4月より、デジタル教科書の一部を紙の教科書に代えて使用することが認められるようになりました。

現在は、教科書無料配布の対象は紙の教科書、デジタル教科書は有償ですが、デジタル教科書が無償の対象になると、紙の教科書が有償となるでしょう。
おそらくは各学校40部(1クラス分)を購入(または自治体で購入し学校で配布)し、必要に応じて副教材として紙の教科書を使用することになるのではないかと思われます。

現在は、「学習者用デジタル教科書の効果的な活用の在り方等に関するガイドライン」(文部科学省)において、

と記載されていますが、この条項は撤廃されるでしょう。

「前例を廃し改革を進める」のであれは、「教科書は紙」という先入観、ノスタルジーは捨てる必要があるでしょう。
そして実現のためには、「教科書は紙」という先入観以上に、教科書検定・出版社・印刷会社・教科書取次販社の構図が「利権」になっているので、その構図にメスを入れることが大仕事になるでしょう。


「教科書の隅にパラパラ漫画を描く」「ザビエルの挿絵にいたずら書きをする」などということは、何年後かには「昔のあるある」として語られるようになるかもしれません。

参考
2020年10月6日共同通信「教科書、 原則デジタル化を 平井担当相「時代の要請」


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