「学校は欠席の連絡がいまだに連絡帳。メールやラインで連絡できるようになってほしい」「外国では黒板じゃなくてホワイトボートらしい」「日本の学校って昔とあなり変わらず変化してないよね」などの声をよく聞きます。
確かに未だに昭和のやり方を踏襲している部分は多々あります。
一斉休校の際、諸外国と比べ情報機器の整備、ネットワークの整備が進んでいないため、遠隔授業ができないこともその一例です。
しかし、平成の30年間で少しずつですが、いろいろなことが変わってきました。
そこでここでは平成の30年間で学校にどのような変化があったのか、振り返り列挙してみたいと思います。
(筆者の自治体の例です。すべての自治体に当てはまることではないことをご了承ください)
子どもへの関わり方
- 男女別名簿→男女混合名簿
- 男子は「くん」女子は「さん」→男女とも「さん」づけ
- 席替えはくじ引き、お見合い等→担任が決める
- 個別支援級の名称は「なかよし級」など→4.5組など一般級と同じ名称
- 男女とも同じ場所で着替える→カーテンで教室の前後を仕切り、男女別に着替える
- 水泳の授業の際、教室はそのまま→着替えた後施錠
- 不登校児は学校に来られるように指導→無理に登校を促さない
- 体罰は禁止だが・・・→体罰は絶対禁止
- 継続して行われるのがいじめ→本人が苦痛を感じればいじめ
職員体制
- 基本的にクラスのことは担任がすべて対応→学年でチームとして対応
- 連絡がない欠席者は担任が電話で確認→職員室にいる先生(副校長や養護教諭など)が電話で確認
- 授業は「音楽」「家庭」等の専科以外は担任が行う→算数少人数、学年間で授業を交換等、多くの先生が関わりながら授業を行う
- 児童指導は担任が行う→指導支援専任や学年主任と連携しながら
- 管理職以外は皆同じ立場→管理職と教諭の間に「主幹教諭」
- 栄養士がいない学校が多い→いない学校へは週に1日栄養士を派遣
- 図書館に司書はいない→学校司書全校配置
- 庁内メールは技術員が取りに行く→外部委託
- 給食の調理は市の職員→外部委託(民間企業が学校の調理室で調理)の学校が増えた
- 技術員は2人とも正規職員→1人は非正規か再任用
子どもの持ち物
- 男子のランドセルは黒、女子のランドセルは赤→男女別なく茶や水色などが人気色に
- 地震の際身を守るものは防災頭巾→防災頭巾に加えてヘルメット
- 給食当番が被る帽子は給食当番のセットに入っている→帽子は個人持ち
- 給食の時持参したナプキンを敷く→トレーを使うようになったので、ナプキンは必要なし
- 鉛筆の本数、シャーペンやペンの使用可否は担任による→学校でスタンダードを決定
- 女子の体操着はブルマ→男女ともハーフパンツ
- 黄色い帽子をかぶって登校→指定なし
- 名札を付けて登校→名札はつけない。1年生は学校に着いてから着ける
- 防犯グッズへもっていない→入学式で防犯ブザー配布
- 体育館を使うときは上履きから体育館履きに履き替える→体育館履きの廃止
授業
- 交流活動は集団での話合いが中心→グループ活動、交流活動などの時間の増加
- 視覚的に見せたいときは掛け軸や紙芝居→コンピュータを用いて表示
- 記述はノートやプリントが中心→イメージマップ、マトリックス等の思考ツールの活用
- プールに入る前に腰洗い槽→腰洗い槽の廃止
- 年に数回の国際理解教室→毎週行われる英語の授業
- 道徳は毎週ある建前だが、教育テレビの道徳番組をたまに見て終わりのことも多い→道徳の教科化、毎週必ず実施(実施状況の調査がある)
- NHK教育テレビの時間に合わせてテレビを見る→ネットで同じ番組が見られるので、放送時間を気にしなくていい
施設
- 冷房なし→全教室、特別教室にエアコン
- 暖房は冬だけ設置される石油ストーブ→暖房もエアコン
- 耐震工事なし→全学校が耐震工事
- 職員室にパソコン一台もなし→職員一人一台にパソコン
- どの教室にもにパソコンは当然ない→パソコン教室に40台、教室に1台
- 出勤管理は印鑑→IDカードで管理
- 時間外勤務の管理はしない→出退勤の時間を自動管理
- 出張旅費・交通費・年休等の申請は紙に書いて提出→オンラインの庶務事務システムで申請
- データは個人で保管、基本的に共有しない→サーバー内に保存
- 校門や昇降口はいつも開放→常時施錠、門は電子ロック
- プールに飛び込み台→飛び込み台の撤去
- 雲梯、上り棒等遊具は独立→いろいろな機能が組み合わさった大型遊具
- プール掃除は子どもと一緒に→職員のみ→最近は清掃業者
- 夜は管理人さんか来校して宿泊警備→電子警備・オートロック
- 教室にゴミ箱は1つ→分別のため3つ
- 学級目標は教室の前(黒板の上)に貼る→教室の後ろに貼る
- 窓が全部開く→15cm位しか空かない(転落防止のため)
仕事の進め方
- 通知表はゴム印と手書き→電算化(市の公務システム)
- 一覧表はゴム印→電算化(市の公務システム)
- 週案は手書き→電算化(エクセルか公務システムか市販ソフト)
- 出席簿は手書き→電算化(市の公務システム)
- 指導要録(学籍の記録)は、区役所から送られてきたデータを手書きで転記→最初からデータが印刷された状態で送られてくる
- 指導要録(指導の記録)は手書き→記録は電算化(市の公務システム)
- 職員会議の提案文書を印刷して配布→サーバーに保存しているものを各自閲覧、必要に応じて印刷
- 打ち合わせは毎日→必要事項はグループウエアにて確認、打ち合わせは緊急時のみ
- 健康手帳は教室で担任が管理→保健室の鍵がかかる棚で管理
- 指導案や会議の提案文書は手書きかワープロ→パソコンで作成・データで管理
日程
- 土曜日も授業→完全週休2日制
- 3学期制→自治体によっては2学期制
- 夏休みは7月21日~8月31日→8月中に授業再開、夏休みが減る
- 冬休み前の授業は12月24日まで→25日まで授業
運動会
- 名称は「運動会」→「スポーツフェスティバル」「○○カップ」等の名称の学校が増える
- 仕事の分担は委員会単位→子どもの希望をとり決定
- 6年生の演技は組体操が多い→ソーラン節等ダンス系の表現活動
- 騎馬戦は入退場の間ずっと騎馬を組んでいる→入場したら騎馬を崩し座る。戦う時に再度騎馬を組む
行事
- 避難訓練は「地震」「火事」→それらに加えて「不審者対応」
- 緊急時は地区別集団下校→引き取り下校
- 集団下校訓練→引き取り下校訓練
- 卒業式の呼名は呼びつけ→「さん」付けの学校が増える
- 卒業式の子どもの服装は女子はブレザーにスカート、男子は中学の制服が多い→スーツ、ブレザーなど多様化。羽織袴も増えてきた
PTA・地域
- 役員が決まらなかったら担任が連絡して決める→担任は役員決定に関わらない。PTA役員が連絡調整
- 入学したら自動的にPTA会員という意識→入学時に入会の確認を取る
- 本部役員、クラス委員の負担が大きい→一人一役など負担を分担する意識
- PTA会長以外男性の保護者の参加が少ない→「おやじの会」を通して学校への関わり
- 通学を見守る人はPTAの校外委員→地域の学援隊も
保護者関係
- 連絡網に担任の自宅電話番号も記載→連絡網の廃止、連絡はメール配信
- 家庭訪問ではお茶や菓子が出る→玄関先で対応の学校が増えた
- 家庭訪問の予定を決める際、保護者の希望を取る→保護者の希望を取らずに決定
- 春に家庭訪問の実施→家庭訪問のを止め、個人面談実施の学校が増えた
- 学校に来るときに特に制限なし→名札(IDカード)の着用、インターホンで要件の確認
- 学校への電話は無制限→18時以降は留守電で対応
管理職の仕事
- 副校長(教頭)は電話対応、インターホン対応で忙殺→業務アシスタントが電話とインターホン対応
- 給食費は学校で徴収、未納者の督促→市が徴収、未納の対応も市が行う
- 教育委員会からの通知は紙の文書で→メールや掲示板で通知
職員の待遇
- ボーナスが3回あった(6月、12月、3月)→3月のボーナスの廃止
- 図書利用券と医療補助券の配布→廃止
- 12000円の旅行補助券→徐々に減額(今は6000円)
- 自動車通勤可→自動車通勤原則禁止
- 先生の子供が病気の時は年休で看護→子の看護休暇(有給)
- 育児休業は1年間まで→3年間まで可能(2年目からは無休)
- 運動会・卒業式等大きな行事の打ち上げは学校→学校では飲酒禁止
- 管理職による勤務評定なし→自己評価をもとに勤務評定。評定により昇進やボーナスに差が出る
- 夏休みもほぼ毎日出勤か研修→約2週間閉庁日
まだまだありそうな感じがしますが、思いつく範囲で書いてみました。
他に思い出したこと、気づいたことがありましたら追記します。
まとめ
どうでしょうか。電算化やICTの普及は学校に限らず、この30年間の大きな変化ですね。学校のIT化は他の業種と比べると遅れているのですが、それでも昭和と比べると大きな変化があることが分かります。
子どもに関することで最も大きな変化は「人権感覚」と「チームでの指導」でしょう。
体罰の禁止の徹底はもちろんのこと、男女平等、配慮を要する子、困り感をもっている子への支援、担任が抱えずチームで指導等、多様性への対応が最も大きな変化だと言えるでしょう。
仕事については
平成初期は「手書き」→10年くらいして「パソコンの導入」→5年くらい前から「電算化」「情報の共有」→最近「働き方改革」という流れで推移しています。
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