GIGAスクール構想で小中学校1人1台端末が導入されることが発表されてから約1年が経ちました。想定される端末は、
- iPad (Apple)
- Windows (Microsoft)
- Chromebook (Google)
です。どの機器を導入するかを各教育委員会の担当者は早急に決めないということもあり、頭を悩ませていました。
しかも数年のうちに全児童生徒に導入することになっていたものが、新型コロナウイルス対応のため今年度中の導入に前倒しされました。
私が今年の3月につかんだ情報だと「全国の70〜80%はChromebookになるだろう」というものでしたが、最近小学校でのiPad導入事例が増えています
(全国最多小中合わせて500校以上の横浜市では、小学校がiPad、中学校がChromebookになりました)。
どうして小学校でのiPad導入事例が増えてきたのか、それぞれの端末のメリット・デメリットから考えていきたいと思います。
Wibdows、Chrome、iPadそれぞれのメリット・デメリット
Windows
メリット
・ビジネス用として多く普及しているので、教師が指導しやすい。
・2in1端末が多く、キーボードを付けてパソコンとして、外してタブレットしとて使える。
・国産(ブランド)の端末が多い。
デメリット
・立ち上がりに時間がかかる。
・メモリが足りない低スペック端末だと、よくフリースする。
・起動の仕方と終了の仕方が違う。
Chromebook
メリット
・キーボードがついている。
・ブラウザのChromeと操作方法がほぼ同じなので上で動かすので、操作がシンプル。
・起動が速い。
デメリット
・データ等はクラウドに保存するのが前提なので、ネットワークに繋がっていないと使いにくい。
・あまり普及していない。
iPad
メリット
・iPhoneと操作方法がほぼ同じなので、操作に馴染みがある。
・直感的に使える
デメリット
・キーボードがついていない。
どうして小学校ではiPadが選ばれるのか
それぞれ一長一短があるのですが、小学校でiPadの導入事例が増えているのはなぜでしょう。
それは「直感的に使える」ということが、小学生にはとても大切だということです。特に使い方を教えなくても、iPadはすぐに使えるようになります。
特に小学生が最も多く使う機能「写真」と「動画」が使いやすいことも大きな理由になります。
そして、日本で一番普及してるスマホiPhoneと操作方法がほぼ同じです。小学生でも高学年になるとスマホを利用する子が多いので、複雑な機能もすぐに使えるようになるでしょう。
2020年8月21日 flick!「枚方市約3万2000台、鎌倉市約1万1200台、相次ぐ学校へのiPad大量導入。選択の理由」の記事には、その理由を次のように記載しています。
iPadユーザーとしては、小中学校、特に小学校だとiPadの方がスムーズに導入できて効果も大きいことは想像に難くない。iPhoneとほぼ同じ、直感的で扱いやすい操作性、特に教育系が充実した数多いアプリケーション、ローマ字の打てない小学校低学年には特にメリットの大きい50音キーボードなどの入力方式の多彩さ、MDMによる多くの端末のセッティングのしやすさ、キーボードやヒンジなどの稼働部がないことによる扱いやすさなどiPadのメリットは多い。Classroomや、Everyone Can Createなど教育支援ツールの充実も見逃せない。
2020年8月21日 flick!「枚方市約3万2000台、鎌倉市約1万1200台、相次ぐ学校へのiPad大量導入。選択の理由」
枚方市ではICT委員会としてチームを作って、全公立小中学校に何を導入すればいいのか検討したという。最終的にはWindowsか、iPadなのかの検討になった。どのような環境が子供や教職員にとって理想的なのかを試行錯誤し、最終的にiPadの導入を決めたという。決め手は『使いやすさ』。「子供たちにとっても、教える側の教員にとってもiPadが使いやすかったのです」
2020年8月21日 flick!「枚方市約3万2000台、鎌倉市約1万1200台、相次ぐ学校へのiPad大量導入。選択の理由」
子供たちは、即座に端末が動作しないと、同じボタンを何度もタップしてしまう。動作の遅いWindows機では、そのことがトラブルの原因になりがちだった(予算内だとWindows機はかなりの低価格機になってしまうのも、こういうトラブルが起こる理由ではある)。
動画撮影をして、それを編集する作業をしても、プレゼンテーション教育をしても、iPadが使いやすかった。直感的に使えて、トラブルが少なかった。
鎌倉市も、モデル校にWindowsのタブレット40台、iPad20台を導入し検討を開始した。
2020年8月21日 flick!「枚方市約3万2000台、鎌倉市約1万1200台、相次ぐ学校へのiPad大量導入。選択の理由」
当初はWindowsのタブレットの導入を構想していたが、立ち上がりに時間がかかるなどトラブルが多く、直感的に操作できて、無料で使えるアプリがたくさんあるiPadの評価が高くiPadの導入が決定した。iPadは先生たちのやりたい授業を後押ししてくれるような使い心地なのだという。
iPadはカメラ系の使い勝手が便利だという。
写真を撮ってレポートに貼ることもできるし、動画を撮ってそれを編集することもできる。スローモーション動画も教育の場面では便利に使えるという。
このように、iPadと子供の活動との親和性や、使いやすさについて言及しています。
iPadに問題点はないのか
iPadを使用する上で問題になることは「キーボードがついていない」ことです。
2020年から実施される新学習指導要領では、コンピュータでの文字入力を基本的な操作としています。
各教科等の指導に当たっては,児童がコンピュータや情報通信ネットワークなどの情報手段に慣れ親しみ,コンピュータで文字を入力するなどの基本的な操作や情報モラルを身に付け,適切に活用できるようにするための学習活動を充実するとともに,これらの情報手段に加え視聴覚教材や教育機器などの教材・教具の適切な活用を図ること。
文部科学省 小学校学習指導要領 総則 第4 指導計画の作成等に当たって配慮すべき事項 2(9)
また、文部科学習「教育の情報化に関する手引き」には、基本的に操作に「キーボード入力」と明記しています。
画面上のソフトキーボードの使用では、入力スキルの向上が見込めません。理想的にはアップル純正のキーボードを別途購入することですが、けっこう高額です。
また、bluetoothのキーボードを使用した場合、クラス全体で使った場合、別の機種とペアリングしていう問題が出てくるでしょう。
キーボード入力する時だけパソコン教室のコンピュータを利用するのも現実的てではありません。
ポスターや新聞を作る、プレゼンを作る、作った作品を共有する等のことには、素早い入力が求められますし、そのためのデバイスが必要になります。
発展的な利用にはキーボードが不可欠です。
iPadは直感的に使うことができ、教育用アプリも豊富に用意されているので、小学生の利用に大変向いているのはここまで記載した通りです。
導入した学校・自治体はタブレットを配布して終わりではなく、1人1台
キーボードが実現できるように、予算配置してほしいものです。
参考:2020年8月21日 flick!「枚方市約3万2000台、鎌倉市約1万1200台、相次ぐ学校へのiPad大量導入。選択の理由」