2020年5月6日 朝日新聞デジタルより
本サイトで2020年4月14日に「なにが遠隔授業(リモート授業・オンライン授業)の妨げになっているのか。実現するためには」という記事を記載しましたが、同様の内容の記事が朝日新聞にも5月6日に掲載されました。
この記事では、オンライン授業実現の現状を次のように記しています。
文部科学省の4月16日時点の調査によると、休校中または休校予定の1213自治体のうち、デジタル教材を使うのは29%で、双方向型のオンライン指導をするのはわずか5%だった。
2020年5月6日 朝日新聞デジタル「学校間、デジタル格差 教材使用29%、双方向オンライン授業5%」
そして、オンライン授業が進まない要因として、
- 全生徒が使えないと不公平になる
- 他の先生が使いこなせない
- 端末の確保が難しい
- 家庭でのネット接続が難しい
等のことが挙げられています。
「全生徒が参加できないと不公平になる」。北海道の公立中に勤める40代の女性教諭は休校中の4月、アプリを使った簡単なオンライン授業ができないかと提案したが、同僚からこう反対され、あきらめざるを得なかった。女性教諭は「生徒に何かをやってあげたいのに、できることから始めることがこんなにも困難なのかと思い知らされた」。
2020年5月6日 朝日新聞デジタル「学校間、デジタル格差 教材使用29%、双方向オンライン授業5%」
中部地方の小学校教諭も、動画サイトのライブ機能を使った双方向授業をしたいと申し出たが、学校関係者に「学校の取り組みとしては認められない」「他の先生には使いこなせない」と止められた。教諭は「できない理由ばかりあげて、最初からやる気がないと感じた。今は非常事態なのに」と嘆く。
2020年5月6日 朝日新聞デジタル「学校間、デジタル格差 教材使用29%、双方向オンライン授業5%」
公立校でオンライン授業がなかなか進まない背景には、教育現場でのICT(情報通信技術)の整備の遅れがある。文科省は10年以上前から地方交付税でのICTの導入を促してきたが、自治体の優先順位は高くなかった。2019年3月時点で、パソコンなど教育用コンピューター1台あたりの児童生徒数は全国平均で5・4人だ。
2020年5月6日 朝日新聞デジタル「学校間、デジタル格差 教材使用29%、双方向オンライン授業5%」
全国規模で短期間にデジタル端末をそろえるのが難しい、という問題もある。新型コロナで需要が世界的に高まり、端末が市場になくなってきているからだ。
さらに、使いこなす技術も必要になる。校内でICTの相談を一手に引き受けてきた首都圏の40代の男性教諭は、「ただ端末を配ればいいわけではない。端末のトラブルや更新の対応をする支援員の配置、教員や生徒らへの研修が不可欠だ」と話す。
端末があっても、セキュリティーへの不安から生かし切れないケースもある。佐賀県武雄市は15年度までに、市立小中学校の児童生徒に1人1台の端末を完備した。だが、危険なサイトへのアクセスや情報流出などの懸念から、ネット接続は校内のみに制限。家庭で使うときにはネットにつながず、端末に入っているドリル学習などしかできない。
2020年5月6日 朝日新聞デジタル「学校間、デジタル格差 教材使用29%、双方向オンライン授業5%」
いずれも、 freeduでかねてから指摘していることです。
freedu代表とも親交がある、GROCOM(国際大学グローバルコミュニケーションセンター)の豊福晋平准教授は、次のようにこの記事をまとめています。
「今の休校中に端末を全員分確保し、通信環境やセキュリティーまで整えるのは無理がある。スマホなどを活用し、できる範囲でまず子どもとつながることが大切だ」と指摘する。
2020年5月6日 朝日新聞デジタル「学校間、デジタル格差 教材使用29%、双方向オンライン授業5%」
ここでは、freedu「なにが遠隔授業(リモート授業・オンライン授業)の妨げになっているのか。実現するためには」のまとめをもう一度掲載します。
GIGAスクールが実現できたとしても、整備されるのは年度末までです。端末が整備されたとしても、家庭で活用できるようにするには、ネットワークの仕様を変える必要があり、1人1台端末を家庭でも活用できるようにするには、膨大な手間が必要になります。それを学校の先生が担うことになるのです。
そして年度末まで今の「遠隔授業ができない」状態を放置する訳はいきません。今すぐできる施策を実現する必要があります。
今すぐできることは、「個人の端末を教育用に使う(BYOD)」ことです。
個人情報保護のやセキュリティの観点から、教職員個人のPC、タブレット、スマホの利用は禁止されているところが殆どです。
しかし、これらの問題点のガイドラインを作成し、通信費を経費として計上できるようにし、家庭でもそれぞれの家庭の端末を活用できるようにすれば、これらの問題点は一気に解決します。多くの大学は「9月まで休校、リモートで授業」という方針を立てています。義務教育だけ、「学校からプリントを配布、家庭で丸点け」ということを続けていたら、「双方向で学び合う」という公教育のよさを自ら捨てることになります。
「できない」ことを挙げるのではなく「今の条件でもできること」を探し実現いすることが、今求められています。
2020年4月14日「なにが遠隔授業(リモート授業・オンライン授業)の妨げになっているのか。実現するためには」