GLOCOM(国際大学)主任研究員の豊福晋平先生は、ここ数年、GIGAスクールやICT文具論についての発信で、とても注目を集めています。
豊福先生は、GIGAスクール構想が成功する秘訣について、twitterで「GIGAスクールの鉄則」という発信をしています。全国の先生に読んでいただきたいと思い、当サイトでもまとめさせていただきます。
今回は第二弾、21〜40です。
GIGAスクールの鉄則21〜40
GIGAスクール導入の鉄則21
オンライン可能な会議は(校内でも)参集してやらない
グループウェアを使えばオンタイムである必要さえない。資料と検討事項は事前にデータ配布。だらだら読み上げ禁止すれば時間も節約出来る。
GIGAスクール導入の鉄則22
無理は続かない
見た目だけ派手なICT利活用授業、それ年間稼働日200日毎時続けられますか?GIGAスクールに必要なのは持続性です。
GIGAスクール導入の鉄則23
非テキストからメディア活用を磨く
満足にテキストやキーボードが扱えなくても使わせない理由にはならない。低学年は動画・写真・音声の活用から始めるのがおすすめ。
GIGAスクール導入の鉄則24
最高のキーボードトレーニングはメッセンジャ
トレーニングアプリの点数稼ぎより、実生活で役立つ動機づけの方が強力。メッセンジャのやりとりをスムーズにしたい、子どもの切望感がキーボードの爆速習得につながる。
GIGAスクール導入の鉄則25
子どもが使い方を提案したら大成功
オンラインのクラウドツールに慣れれば授業に応用が効く。「先生、こうすれば?」と子どもが言ってきたら、学校日常のデジタル化が定着した証拠。
GIGAスクールの鉄則26
ICTで子どもの学びを分断しない
子どもの生活も学びも本来はずっと続くもの。教科や授業で断片を散らかすのではなく、あとで作品にまとめることを念頭にデータ蓄積する。
GIGAスクールの鉄則27
依存の心配より使い倒すつもりで
新しい道具は誰でも試してみたいもの。でなければ利点・欠点、自分なりの使いこなしは見つからない。
GIGAスクールの鉄則28
似非情報化に御用心
かえって手間が増える、楽にならない、制限だらけで使えない、メリットが見いだせない、のは似非情報化の罠に嵌まっているから。
GIGAスクールの鉄則29
“オンライン・コミュニケーション作法を身に付ける”
大人も子どもも重要なのは私的→公的連絡手段への変化。公的になれば立場の違いや場面で作法は変わるし、業務時間があることは大前提。
GIGAスクールの鉄則30
“パスワード書かせて提出させるのは絶対ダメ”
IDパスワードは個人管理が原則。たとえ相手が学校でも、他人に教えるのは御法度です。
GIGAスクールの鉄則31
“情報消費より知的生産”
だらだら動画見るだけのエンタメマシンにしたくないのなら、積極的な情報創造者になるための働きかけを。
GIGAスクールの鉄則32
”授業でピンポイントで効果的にICTが扱えるのは、普段から使ってるから”
教員も子どもも、ある程度経験がなければスマートに使えないのは当然です。
GIGAスクールの鉄則33
“ファイリングはあきらめよう”
紙のファイリングは紙資源と検索時間の無駄。複数年でも多量でもクラウドなら一発検索可能。面倒はデジタルに任せて、綴じ整理の几帳面さは別の才能に使おう。
GIGAスクールの鉄則34
”GIGA導入は後回しにするほどツラくなる”
学校の優先順位が低過ぎれば、何もせずにあっという間に夏休みが来る。端末は腐らないが、ボーナス期の期待はすぐに萎み、失望とクレームは増える。
GIGAスクールの鉄則35
”黒板も電子黒板も子どもにとっては同じもの”
教員がどれだけ教具に凝っても、所詮それは子ども自身が操作出来ないモノ。GIGAは学習者中心。受け身じゃつまんないんですよ。
GIGAスクールの鉄則36
“ICT基礎トレから逃げない”
キーボード入力の個人格差は授業・学習品質を左右するので底上げは絶対に必要。特に中学以上は教科間の押し付け合いが起こりやすいので、定期的なキーボード能力測定や基礎トレの段取りは腹を決めてやること。
GIGAスクールの鉄則37
“北風と太陽”
ICTで子どもを思い通りに動かそうとする(強制・統制)ほど教員負担は増える。任せるべきことは積極的に委ねて、教員は本来すべき仕事をしよう。
GIGAスクールの鉄則38
”倍速再生出来ない授業は動画にさえ劣る”
これが10代の普通の感覚。情報伝達だけが目的ならリアル授業はすでに動画に負けています。
GIGAスクールの鉄則39
”授業の小道具か、学びを支えるインフラか”
GIGAスクールは毎日の学びを支える情報ライフライン。だから教具でなくて、学習者の文具でなければならない。この違いが認識出来ないと、運用や規制の方針を決定的に誤ります。
GIGAスクールの鉄則40
“クラウドをデータのゴミ溜めにしない”
データマネジメントが必要。整理タイミングを自然に作るには、データ蓄積→編集→共有の中長期サイクルを学校行事に埋め込む。ポートフォリオプレゼンなどがきっかけになります。
豊福晋平先生
国際大学グローバル・コミュニケーション・センター(GLOCOM)主幹研究員・准教授
北海道出身、横浜国立大学教育学部(心理学)卒、横浜国立大学大学院教育学研究科修了、東京工業大学大学院総合理工学研究科博士課程中退
専門は学校教育心理学・教育工学・学校経営。一貫して教育情報化をテーマとして取り組み、近年は、北欧諸国をモデルとした学習情報環境(1:1/BYOD)の構築に関わる。
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