GLOCOM(国際大学)主任研究員の豊福晋平先生は、ここ数年、GIGAスクールやICT文具論についての発信で、とても注目を集めています。
豊福先生は、GIGAスクール構想が成功する秘訣について、twitterで「GIGAスクールの鉄則」という発信をしています。全国の先生に読んでいただきたいと思い、当サイトでもまとめさせていただきます。
今回は第五弾 !81〜96。100まであと少しです。
GIGAスクールの鉄則81〜100
GIGAスクール導入の鉄則81
”端末規制すれば子どもはスマホに逃げる”
厳格な規制は知的生産の自在な道具立てを遠ざけ、受動的な課題消化や情報消費を強化する。
GIGAスクール導入の鉄則82
”チートと穴塞ぎの悪循環が全てを壊す”
テクニカルな規制は子どもの格好の挑戦課題。知力を総動員して抜け道を探す。大人が不信で穴塞ぎに躍起になれば、使えない環境が出来上がる。
GIGAスクール導入の鉄則83
“ICTは個別化以上に個性化のための道具”
インプット学習のため個別化と、アウトプットのための学びの個性化では、ICT用途のベクトルが違う。
GIGAスクール導入の鉄則84
”なぜYouTubeやLINEが欠かせないのか”
子ども目線で考えよう。メディアの使い方や必要感は世代で大きく違う。一方的な決めつけや禁止制限は断絶を生む。
GIGAスクール導入の鉄則85
”ICTに対する解像度を上げる”
単なる機材置換え、学校まかせで済ませてしまうのは担当者の認識が低いから。高いほど足りない事だらけであることに気付く。
GIGAスクールの鉄則86
“テクノロジーのよき使い手を育てる”
デジタルシティズンシップの中心目標。誰にとって「よい」のか?パワーを正しく使うには、自分に、周囲に、社会に対して責任を負う必要がある。使う道具のことを年1回30分では教えられない”
GIGAスクールの鉄則87
”内海から外海へ”
オンライン・コミュニケーションは、身近なやりとりを出発点に、徐々に外との関わりが持てるよう促す。
GIGAスクールの鉄則88
“指導より伴走”
大切なのは適切なテクノロジー利用の自律を支えること。学習者自身の課題や危機は、寄り添うことでしか把握出来ない。級/学校/自治体間で活用の格差ははっきり現れる”
GIGAスクールの鉄則89
「それICTでなくても出来ますよね?」は呪いの言葉
どんなに優秀な道具でも、最初から効果的に使えるとは限らない。小さな試行錯誤をつぶさないこと。
GIGAスクールの鉄則90
①安全に②責任をもって③互いを尊重する
デジタルシティズンシップの大原則。シンプルな基本に立ち返って自分で判断出来るようにするのが教育
GIGAスクールの鉄則91
検索一発で答えられるような問いをしない
分からない事をググるのは当たり前。ポイントは得られた膨大な情報をどう評価し、要約し、編集するか
GIGAスクールの鉄則92
大人のモラルパニックの方が有害
実態を受け入れられない大人が子どもを一方的に教化しようとする。教職員や保護者こそ子どものメディア利用特性について学ばねばならない。
GIGAスクールの鉄則93
デジタル作品の発表機会を作る
夏休みの自由研究は積極的にデータで受付けよう。サイトで限定公開すれば多くの人に見てもらえる。
GIGAスクールの鉄則94
日本の教育情報化は世界の最底辺
PISA調査で日本でのICT学習活用度は最下位が10年以上続いている。焼け野原のような現状を踏まえよう。
GIGAスクールの鉄則95
最初の一枚を大切に
端末を手にして最初に撮った写真、最初に描いた絵、どれもはじまりの大切な思い出。自分のクラウドにしっかり残し、保護者に見せて夕食の話題にしよう。
GIGAスクールの鉄則96
発想・創造・遊び・共有・ふりかえり
MITレズニック氏による創造的学びのスパイラル。子ども達の自然な活動を豊かな学びにつなげるサポートこそが求められている。
豊福晋平先生
国際大学グローバル・コミュニケーション・センター(GLOCOM)主幹研究員・准教授
北海道出身、横浜国立大学教育学部(心理学)卒、横浜国立大学大学院教育学研究科修了、東京工業大学大学院総合理工学研究科博士課程中退
専門は学校教育心理学・教育工学・学校経営。一貫して教育情報化をテーマとして取り組み、近年は、北欧諸国をモデルとした学習情報環境(1:1/BYOD)の構築に関わる。
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