2020年7月16日 日本経済新聞より
近年の教員希望者の減少には、多くの理由がありますが、その理由の1つに、「教員免許取得の困難さ」があります。一般の大学でも教職課程の単位を取得すればよい中学高校の免許と違い、教員養成系の大学・学部でなければ取得できない単位の多い小学校の免許は、特に取得が大変です。
文部科学省は、7月17日に開く中央教育審議会の特別部会で、大学の教職課程や社会人の教員免許取得制度などの見直しを盛り込み、小学校と中学校の教員免許を同時に取得しやすくするため、大学などの教職課程に特例を設ける原案を提示しました。
それぞれの必修科目の一部共通化などが柱。教員が小・中学校間を行き来しやすくするほか、社会人の免許取得制度も整え、業務負担が増す教員を幅広く確保する狙いがある。
2020年7月16日 日本経済新聞「教員免許「小中同時取得」容易に 単位共通化認める」より
新たに設けるのは「義務教育特例」(仮称)で、小中の教員免許の取得のため履修が必要な科目のうち、内容が類似する「各教科ごとの指導法」など一部の科目を共通化できるようにする。教育実習も小中それぞれで実施しなくて済むようにする。両免許の取得に必要な単位は4分の1以上減る見通しだ。
2020年7月16日 日本経済新聞「教員免許「小中同時取得」容易に 単位共通化認める」より
現行の免許制度では中学校免許があれば小学校で教えることは可能だが、自身の専門科目など一部の授業しか受け持つことができない。特例によって小学校の指導法を合わせて学べるようにして、中学校教員を志望する学生に小学校免許の取得を促す狙いもある。
この案は、新規に教員免許を取得する人だけを対象にしているのではなく、現在中学校の免許を持っている人が新たに小学校の免許を取得しやすくしたり、社会人が免許を取得するのを以前より容易にしたりすることも狙っています。
2018年度時点で中学校の免許のみで小学校に勤める教員は7千人以上いるという。これまでは中学校で一定の勤務年数があることを小学校免許の追加取得の条件にしていた。この制約を撤廃し、小学校での勤務年数もカウントできるようにする。
2020年7月16日 日本経済新聞「教員免許「小中同時取得」容易に 単位共通化認める」より
教員免許を持たない社会人も教壇に立ちやすくする。現在、専門知識を持つ社会人などを対象に、有効期限10年の「特別免許状」を出して教員に任用する仕組みがあるものの、期限が長いため敬遠されがちだった。今後はより期限が短い免許の新設を検討する。
昨年度の教員採用試験の倍率は、小学校が全国平均で2.8倍。小学校の希望者減は深刻な問題になっています。
教員養成が容易になるということは、質の低下と繋がる可能性もあり難しい問題ですが、希望者の増加を進めないと、人材不足を解消することはできません。
これらの措置が、教員免許取得者の増加、学校で働く人の増加に繋がることを期待したいです。
しかし、これらの措置が上手くいったとしても、現状の免許更新制度が続く限り、10年で失効してしまいます。
これらの改革と同時に、現状の免許更新制度の見直しが急務です。