小学生の時に自然・文化体験が多いと、高校生で自尊感情が高まる




文部科学省は9月8日「小学生のころに自然や社会、文化的な体験を多くした高校生は自尊感情が高い」
という調査研究報告を発表しました。
文科省は「体験活動が子どもの成長に大切であることを確かな分析方法で裏付けできた」と分析しています。

21世紀出生児縦断調査からの分析

このことは「21世紀出生児縦断調査」から分かりました。この調査は2001年に生まれた子どもと保護者の計2万人以上を対象に、厚生労働省と文科省が毎年1回、追跡調査してきたものです。
質問内容は年によって異なりますが、文科省は、子どもが12歳(小6)の2013年に行った調査で自然、社会、文化的な体験の回数を尋ねたことに着目。
5年後の17歳(高2)になった2018年の調査で尋ねた自尊感情の回答状況と重ね合わせて分析しました。

調査結果の概要

  • 小学生の頃に体験活動((キャンプ・登山・川遊びなどの)自然体験、社会体験、文化的体験)や読書、お手伝いを多くしていた子供は、その後、高校生の時に自尊感情(自分に対して肯定的、自分に満足しているなど)や外向性(自分のことを活発だと思う)、精神的な回復力(新しいことに興味を持つ、自分の感情を調整する、将来に対して前向きなど)といった項目の得点が高くなる傾向が見られた。
  • 小学生の頃に異年齢(年上・年下)の人とよく遊んだり、自然の場所や空き地・路地などでよく遊んだりした経験のある高校生も上記と同様の傾向が見られた。
  • 経験した内容(体験活動や読書、遊び、お手伝い)によって影響が見られる意識や時期が異なることから、一つの経験だけでなく、多様な経験をすることが必要であるということも見えてきた。
  • 小学校の時に体験活動などをよくしていると、家庭の環境に関わらず、高校生の時に自尊感情や外向性、精神的な回復力といった項目の得点が高くなる傾向が見られた。

農業・職業の体験、ボランティアなどの「社会体験」、動植物園・博物館・美術館の見学や音楽・演劇の鑑賞、スポーツ観戦などの「文化的体験」についても同様の結果でした。

世帯収入は関係ない

子どもの自尊感情は家庭環境の影響も考えられるため、文科省は世帯収入の水準別にも分析しています。
収入が低い家庭の子どもでも、体験活動が多ければ自尊感情の得点は高くなっています。


感覚的に「体験活動が自尊感情には有効」ということを感じていた方は多いと思いまずか、そのことが世帯収入に関わらず言えるとデータで証明できたのは分かったのは大きな成果と言えるでしょう。今後は体験の量や時間、質と自尊感情との関連の分析が待たれます。

参考

文部科学省「令和2年度青少年の体験活動に関する調査研究結果報告 ~21世紀出生児縦断調査を活用した体験活動の効果等分析結果について~」

令和2年度青少年の体験活動に関する調査研究 報告パンフレット(概要)

21世紀出生児縦断調査(平成13年出生児) 第16回調査




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