新型コロナウイルスの感染拡大に伴う学校現場への抗原検査キットの配布について、萩生田光一文科相は8月27日の閣議後会見で、教職員と小学校4年生以上の児童生徒を対象に、9月上旬から幼稚園、小学校、中学校などに最大約80万回分を無償配布することを明らかにしました。抗原検査キットを使用する際の留意点を説明した手引きを近く公表する予定です。
キットは教職員が対象、しかし児童生徒も使用
萩生田文科相は「今回配布するキットは、教職員を対象に使用することが基本」とした上で、児童生徒については
「原則、体調不良の場合は速やかに帰宅を促す、あるいは直ちに医療機関への受診を指導することになっている。ただ、保護者が直ちに学校に迎えに来られないとか、その日のうちに病院に行けない、そういう可能性があった場合に補完的に使用することを前提としている。検査に当たっては、教職員が立ち会った上で児童生徒本人が自分で検体を採取して、検査結果が陽性になった場合は速やかに帰宅し、確定診断を行うために医療機関を受診するなど必要な対応をとることに変わりはない」
と説明しました。
医療行為にはならないのか
学校現場への抗原検査キットの配布は、政府が8月25日に改訂した新型コロナウイルス対策の基本的対処方針に盛り込まれました。これに対して、教職員が児童生徒の検査を行えば医療行為に当たる恐れがあることや、検査に当たる教職員への感染リスク、検査結果が陽性になった児童生徒の隔離場所の確保などについて、専門家や養護教諭らから当惑する声が上がっています。
これらに対して、萩生田文科相は
「(自分で検査できる)高校生は問題ないと思うが、小学生の場合、具合が悪くて保健室に来たら、直ちに抗原検査をすることを勧めているわけではない。具合が悪ければ帰宅や通院をしてもらうのが原則になる。しかし、対応に時間が生じる場合には、養護教諭や担任の教員などと協力しながら、こういったツールを使って、できるだけ早く状況を確認する必要もあるのではないか。そもそも80万セットを全国に配るので、各学校にいくのは限られた数になる。運用はマストではないので、柔軟な扱い方をしてほしい」
と述べ、抗原検査キットは補完的な使用を前提としていることを強調しました。
さらに、医療行為に当たるのではないかという学校現場の懸念に対しては、
「小学校4年生以上としたのは、4年生以上だったら自分で検体を鼻の中から取ることができるだろうけれども、低学年の場合は『自分でやってみて』と言ってもなかなか難しいから、医師資格を持ってない教員たちがそういった行為をすることを奨励するわけにはいかない」
と説明。
「今までそういったものもない中で新学期を迎えることになっていたので、安心を確保するツールとして配布させていただく」
と、配布に理解を求めました。