中教審の特別部会で「質の高い教師の確保」について議論
教員の働き方改革などを議論してきた文部科学省の中教審「質の高い教師の確保特別部会」が、4月4日開催の第11回部会において、 宇4月19日に行われる「質の高い教師の確保特別部会」で、公立学校の教員に残業代の代わりに給与に月額4%を上乗せしている「教職調整額」について10%以上に引き上げることを柱とした提言の素案を4月19日開催の第12回部会でまとめる方向であることがわかりました。
給特法の問題点は
1971年に制定された「給特法(公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法)」は公立学校の教員に対し、残業代を支払わない代わりに給与に月額4%を上乗せして支給するという法律です。
教員の職務は児童生徒を対象にしているだけに、「これでよい」という限度がなく、無限な広がりがあると言われています。こうした教員の職務の特殊性をふまえ、公立学校の教員について、時間外勤務手当や休日勤務手当を支給しない代わりに、給料月額の4パーセントに相当する教職調整額を(昭和41年度の文部省実態調査で明らかになった月8時間の超過勤務に相当する金額)、一律に支給することを給特法では定めています。
法律が定められた当時と比べても教員の職務は多様化・多忙化しており、月額4%を上乗せしたとしても給与が残業時間に全く見合わず、給特法が「定額働かせ放題」の温床になっており、昨今の教員不足のもとになっているなどの批判が教育現場から上がっています。
2023年の日教組調査によると、小中学校や高校の教員の持ち帰り残業も含めて、実質的な時間外労働の平均が、いわゆる「過労死ライン」とされる月80時間を超えています。
1学期の平均的な1週間の勤務状況は、持ち帰り残業を含めた実質的な時間外労働の平均は月当たりの換算で
▽中学校で116時間28分
▽小学校で91時間8分、
▽高校で80時間16分
教員の実質的な時間外労働 月80時間超 “長時間労働が常態化” | NHK | 働き方改革
特別部会の提言の内容
こうした状況を踏まえ、中教審の特別部会では去年6月から教員の働き方改革や、「給特法」の見直しを含む教員の処遇改善について議論を進めてきました。
これまでの中教審の議論では教職調整額を廃止して、実際の労働時間に応じた残業代を支払うことも検討されましたが、授業の準備や部活動の指導など、どこまでが勤務なのかという線引きが難しく、現在の「給特法」の枠組みは維持したままで、上乗せ分を引き上げるという意見が多数出ていました。
こうした議論を踏まえ、19日の部会では提言の素案がとりまとめられる予定で、「教職調整額」を現在の4%から10%以上に引き上げることを柱としています。
この提言で解決するのか
しかし仮に教職調整額が現在の4%から13%に増額されたとしても、1日1時間、週に5時間、月に20時間分のみなし残業代が支給されるだけです。1日1時間の超過勤務で退勤できることははほとんどなく、平均時間外勤務の1/4の額しか支給されないことを考えると、「現状よりまし」程度で、抜本的な改革にはほど遠いと言えるでしょう。
現行の教職調整額の制度を生かすにしても、
- 更なる増額
- 能力や職務に応じた手当の拡充
- 授業以外の業務の更なる精選
を進める必要があります。
物流業界も医師も、2024年から残業の上限規制が始まります。
教師だけ「働かせ放題」でいい訳がありません。
参考
知っていますか?物流の2024年問題 | 全日本トラック協会 | Japan Trucking Association
小学校の教科担任制、3・4年生に拡大へ…中央教育審議会が素案提出の見通し : 読売新聞
質の高い教師の確保特別部会(第11回) 配付資料:文部科学省
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