以前の記事で、2020年度に児童生徒の自殺が過去最高だったことをお知らせしましたが、不登校も過去最高だったことが文部科学省の調査で分かりました。
不登校は8.2%増で過去最高
全国の小中学校で2020年度に不登校だった児童生徒は前年度比8.2%増の19万6127人で過去最多となったことが10月13日、文部科学省の「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」でわかりました。
※調査は毎年、国公私立の小中高校と特別支援学校を対象に実施しているものです。
- 小学生は. 6,3350人(前年度比18・7%増)
- 中学生は 132,777人(同3・8%増)
いずれも8年連続で増加。前年度から計14,855人増えています。特に小学校の増加が目立ちます。
※「不登校」は病気、経済的理由、感染回避などを除いて年間30日以上登校していない状況を指します。
主な要因は
- 「無気力、不安」 46・9%(7・0ポイント増)
- 「生活リズムの乱れ、あそび、非行」 12・0%
新型コロナの感染拡大を受け、全国の学校では昨年3月から5月まで一斉休校が実施されています。つまり、例年より学校に登校した日が2ヶ月も減ったにも関わらず、不登校が増加しているのです。
文部科学省は、
コロナ禍が子供たちの生活に変化を与えた。生活リズムが乱れやすく、学校行事なども制限され登校意欲がわかなかったのでは。
と分析しています。
- 夏休みの短縮
- 修学旅行や運動会などの学校行事の中止・縮小
- 給食の黙食
- グループ活動の制限
などの学校生活の変化が子どもの不安感を増し、影響していると予想できます。
また、学校以外で行う多様で適切な学習活動の重要性を認めた「教育機会確保法」が17年に施行され、フリースクールなどでの学習も広く認められるようになりました。こうした面も、不登校の人数を押し上げる要因になったとみられています。
感染回避は3万人超。自殺も増加
今回初めて調査項目に加わったのが、感染を避けるため、年30日以上登校しなかった「感染回避」です。独自に出席扱いとする自治体もありますが、感染回避は小中学高で20,905人、高校まで含める30,287人に上りました。
また、20年度に自殺した小中高生は415人で前年度から98人増えています。(2月15日の発表、警察発表とは人数が違いますが、過去最高であることには変わりありません)。1974年に調査を開始して以来、最多となっています。文部科学省は、
家庭で居場所のない子供たちの救いの場になっていた学校がコロナ禍で休校になり、行事も中止や延期になった影響もある。在宅の時間も増え、家庭での息苦しさが増えた。
とみています。
2月15日文科省発表の暫定値 479人
10月13日発表の確定値 415人
警察発表 507人
と差が出ています。文科省発表は警察発表より少なくなる傾向があります。
いじめの認知件数は減少
一方、いじめの認知件数は7年ぶりに減少しています。小中高と特別支援学校のいじめの認知件数は51万7163件(同15・6%減)、深刻ないじめである「重大事態」も514件(同28・9%減)で共に減っています。
コロナ禍で子供同士が物理的な距離を取り、授業や学校行事、部活動が制限され、やりとりが減ったことが影響したとみられます。
全体の認知件数が減る中、「パソコンや携帯電話などでの中傷や嫌がらせ」(ネットいじめ)は前年度から946件増え、1万8870件で過去最多となりました。
暴力行為も減少
小・中・高校による暴力行為の発生件数は66,201件(前年度78,787件)で、前年度から12,568件(16.0%)減少しています。児童生徒1,000人当たりの発生件数は5.1人(前年度6.1人)です。
登校日数が減ったことも要因と考えられます。
文科省の対策は?
この調査結果を受けての文科省の主な取り組みは以下の通りです。
- 早期発見や支援のための教育支援体制の充実
- 不登校児童生徒支援の充実
- いじめ問題や自殺予防に関する啓発活動
まとめ
- 不登校は大幅増
- 自殺も大幅増
- いじめ、不登校、暴力行為は減少。しかしネットいじめは過去最多
- 新型コロナウイルスによる登校日数の減少、生活の変化が原因と考えられる
参考
2021年10月13日 読売新聞オンライン「コロナ影響、児童生徒の不登校・自殺が過去最多に…昨年度『子供たちの生活に変化』」
2021年10月14日朝日新聞デジタル「コロナ禍、不登校最多 小中学生19万人、生活の変化一因」
文部科学省「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果の概要」
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