中教審の「令和の日本型学校教育」を担う教師の在り方特別部会、教員免許更新制小委員会が9月27日、オンラインで行われました。
今回の会議ではもこの委員会が8月に取りまとめた、「教員免許更新制を『発展的に解消する』」という方向性を示した審議まとめ案について議論が行われました。
8月のまとめ案では、教員免許更新制に代わる新たな学びの機会を提供するとして、
- 任命権者や学校管理職などが教員との対話を通じて研修の受講を奨励する
- 研修受講履歴管理システムなどの仕組みを構築する
ことなどが示されましたが、この「教員免許更新制に代わる教員研修制度」に対し委員からは、学校現場から
「新たな義務が増えるのでは」と不安の声が上がっている
との指摘があり、教員が新たな学びを前向きに捉えられるような周知が必要だと議論されまれた。
議論の概要
新たな研修制度についての懸念
現場から聞こえてくるのは、教員免許更新制の廃止への期待とともに、『発展的解消』というこの文言への不安だ。
新制度ができて、研修をいっそう徹底させられるのでは、勤務環境が厳しくなるのではないかと表面的に伝わることを大変危惧している。
教員は現場の教育経験や授業経験、その振り返りで学ぶという観点が大きく、研修はそれでは学べないものを学ぶためのサプリメントのようなものだと考えている。ただ、どうしても教師の学びイコール研修受講履歴管理システムの話のように見えてしまう。これが現場の誤解や不協力を生まないか
現場の理解を求める意見
これらの懸念に対し、
研修は教職員を縛るものであるというイメージが強く、新たな手かせ足かせ、義務みたいな感じになっている。教職員自身が学んでいくことによって、仕事を楽しく、誇りをもってやっていけるようにしていくための大事な学びとなっていく必要がある。
と、現場の理解を得る必要性を指摘。この委員会の主査である加治佐委員長は、
免許更新制に代わってまだやらされる、義務付けられるような感じで受け止められるのはよろしくない。うまく伝わるよう、われわれも考えていかなければならない。教師の成長の中で、研修がどう位置付くのかということも、大きな視点から(審議まとめに)書いていくべきだ。
と呼応しました。
自主的な研修を後押しする制度に
研修(研究と修養)は教員のスキルアップにとって必要不可欠であり、本来は国や自治体から言われるまでもなく、「自主的に行わないといけない」ものです。
しかし現在は教員免許更新研修を始めする官制研修が多すぎ、自主的に研修する時間も意欲も失われているのが実情です。
これらの議論の結果として、「新たな義務を増やす」のではなく、「教員が自主研修を取り戻す」方向性に向かってほしいと願います。
※吹き出しのイラストはイメージです。発言者を反映しておりません。
参考:2021年9月27日 教育新聞「教員免許更新制に代わる教員の学び 中教審合同会議で議論」
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