2019年12月23日 朝日新聞デジタルより
12月4に中央教育審議会(中教審)の教育課程部会がありました。そこではPISA学力調査で「読解力が8位から15位に落ちた」ことについて審議されました。
その審議の中で
デジタルの情報を読む力が不足しているとの指摘があった。「積極的にICT(情報通信技術)で学ぶ必要がある。多様な経路から来るデジタル情報を理解できないのが決定的だ」
調査は、前回の15年からコンピューターを使ったテストになり、測る力も今回からブログや電子メールなどを読む本格的な「デジタル読解力」に変わっている。全問のうち、およそ7割がコンピューター用に開発されたものだ。
2019年12月23日 朝日新聞デジタル「日本の弱点、デジタル読解力 うそもある情報の海、泳ぐ力 PISA」より
日本は、授業中にデジタル機器を使う頻度がPISA調査を行った国の中で最下位なのです。これで「デジタル読解力」が身につく訳がありません。
また、委員からはこのような意見もありました。
一方で、従来の読解力を重視する委員もいた。「今の国語の授業は意見を発表することに焦点が当たっているが、言葉を意識しながら文字をしっかり読む時間が減ってしまっている」
2019年12月23日 朝日新聞デジタル「日本の弱点、デジタル読解力 うそもある情報の海、泳ぐ力 PISA」より
しかし、今PISAの調査は毎年重点項目が変わるのですが、今回は「読解力」だったこと、
そして、読解力の視点が
書かれたテキストの中から
・情報を探し出せるか
・字句の意味を理解しているか
というものから
オンライン上の様々なデジタルテキストの中から
・文責が誰にあるのか
・出所が定かであるのか
・校正・校閲がしっかりなされているのか
というものに変化していることを考えると、従来の読解力の視点では現在の読解力の国際基準は達成できないことが分かります。
以前から「クリティカルシンキング」の大切さは言われてきましたか、日本ではそれを学ぶ機会も実践する場所も弱かったと言えるでしょう。
そして現代社会を生きるためには、情報の海におぼれない力(情報の真贋を判断し、比較検討し判断する力)が必要です。
今回の PISAの結果から、そのような力を身につけるための教育や、条件整備がより大切になったと言えるでしょう。
PISAの調査結果の後、「情報端末1人1台整備」という施策、そして「GIGAスクール構想」が国から出されたのも、このことが背景と言えます。