PISA調査に対する批判
2000年に開始されたこの「教育オリンピック」でより上位に食い込むことに参加国の面々が躍起になり、著しくは国の教育方針を決める際にPISAテストを意識する国が現れたりするのにそう時間はかからなかった。
2020年1月30日 AMP 『PISAに変化を強いる「これからの教育が目指すべきもの」とは? 世界経済フォーラム「今、教育評価に起きている変化」』より
そのため、PISAに対し次のような批判も寄せられています。
現在までにPISAテストに寄せられた批判の中で最も有名なものは、80名の各国の教育研究者たちが2014年に先述のSchleicher氏に寄せた(現在までに賛同者は130名にのぼっている)公開書簡。
彼らはその中で現在の世界的な教育倫理の基本と同テストの矛盾を指摘し、実施と結果の公開が各国の教育システムに「ダメージを与えている」と主張した。
PISAテストが批判を受けた部分は以下の通り。・世界の「点取り競争」を過熱させている。
・3年の評価サイクルは、教育に一定の変化の結果を出すには短すぎる。
・物理・道徳・芸術・社会など重要な科目が欠け、それらが重要でないかのような印象を与える。
・OECDは経済発展に寄与するための組織であり、子どもの幸福や教育は対象外のはずである。教育は経済への貢献によって評価されるべきではない。
・PISAの実施とフォローアップのために多くの官民パートナーシップが採用され、ビジネスの道具にされている。
・機械的に点数を測るテストの大きな影響力により、現場にプレッシャーを与え、教師の裁量を奪っている。また、欧州連合(EU)も共同声明の中でほぼ同様の点に懸念を示し、「PISAの結果は各国の教育政策のために賢く利用されるべきものであって、現場が影響を受けるべきではない」という立場を明確にしている。
2020年1月30日 AMP 『PISAに変化を強いる「これからの教育が目指すべきもの」とは? 世界経済フォーラム「今、教育評価に起きている変化」』より
これらの批判に対して、Schleicher氏は次のように答えています。
「これからの世界においては、知識の量ではなくその使い方が問われるようになる。PISAテストもそれに見合った変革が見込まれている」とし、2021年の新人事より、創造的思考・思考の柔軟性・探究心・持続性などを問う内容に大きくシフトする方向性を示した。
2020年1月30日 AMP 『PISAに変化を強いる「これからの教育が目指すべきもの」とは? 世界経済フォーラム「今、教育評価に起きている変化」』より
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