2020年1月26日 神奈川新聞より
持続可能な社会の実現に向け、小中高生が学びを深める交流報告会が25日、横浜市中区で開かれました。
ESD(持続可能な開発のための教育)推進校の児童生徒らが食料や環境、自然災害など世界的課題解決の糸口を探り、「答えがすぐに見つからなくても目をそらさず考え続ける大切さ」を共有した。
同市立の小学校11校、中学校2校、高校1校と「よこはま子ども国際平和プログラムピースメッセンジャー」の約150人が、本年度の総合学習や委員会活動の取り組みをポスターなどで発表した。
2020年1月26日神奈川新聞『「考え続ける大切さを」小中高生が横浜で報告会』より
私は社会科・生活科が専門ということもあり、SDGsやESDという言葉がない頃から「持続可能な社会の実現」を意識した実践を積み重ねてきました。
そのときに大切な観点は3つあります。
1 きれい事にならない
2 やった気にならない
3 あきらめない
ことです。
1 子どもたちはその場では「きれいな言葉」でいいことを発言しがちです。しかし発言がその場で終わりになってしまい、実行しなければ意味がありません。
「きれい事で終わらせない」ことが大切です。
2 そして「給食の残滓を減らす」「節水をする」「エコバッグを使用する」等の試みは大切ですが、そのことをしたからといって、社会の諸問題が解決する訳ではありません。
しかも、「脱炭素のために化石燃料を使わず電化を進める」「電気製品に必要不可欠な電池は製造も廃棄も環境負荷が高い」など、矛盾することが起こることがしばしばあります。
「いいことをしたからそれでいい」と満足してはいけません。
3 だからと言って、「自分たちだけやっても意味がない」と諦めてもいけないのです。
「自分たち一人一人の取組は小さくても、小さいことを積み重ねること、その取組を少しずつ広めていくことが大切」と思うことが大切なのです。
4年生の担任をしていたときの、社会科「水はどこから」の学習のことです。
自分たちの生活に水道は不可欠なこと、その維持のために市の働きがあることを知った子どもたちは、その影に、ダム建設のために家を追われた人がいたことを知り、「自分たちの生活のために犠牲になった人がいる」ことに大きなショックを受けていました。
だからといって水道を使わない訳にはいかないことに悩んだ子どもたちは「これ以上ダムを増やさなくていいように節水しよう」と考え、節水計画を立てることになりました。
そして、
「節水するって言ってるけど、本当にできるの?今だけいいこと言ってるんじゃないの?」
「だったら節水しなくていいの?しないつもりなの?」
と本気で話合い、
「トイレの水を流すのは2回に1回にしたらいんじゃないか」
「それはいい考えだと思うけど、家の人のやっていいって言ってくれるかわからない」
などの意見を出しながら、「家の水道料金が下がれば、節水できたことになる」という節水の計画を話し合っていました。
子どもたちは「節水する」ということをきれい事ではなく自分事としてとらえ、実現は難しくでも続ける価値のあるものととらえ、やり続けようとしていました。
講評で東洋大社会学科の米原あき教授は「答えがはっきり用意されていない大きな問題に取り組むこつは、目をそらさずに考え続けること」と伝授した。
2020年1月26日神奈川新聞『「考え続ける大切さを」小中高生が横浜で報告会』より
簡単ではないからこそ考え続けること、難しいからこそ一人で考えるのではなく多くの人の見地を知ることができる学校教育で取り組む必要があるのです。
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