「学校の先生は夏休みが長くていいなぁ」と最近は言われなくなりましたが、「夏休みも仕事って言うけど、いったい何をしているんだろう」と疑問に思っている方も多いのではないでしょうか。
そこで、先生は夏休み何をしているんだろう」という疑問に答えたいと思います。
(自治体によって違います。ここでは横浜市の例を紹介します)
目次
午前中は水泳指導
夏休みの小学校の仕事と言え、真っ先に思いつくのが「特設水泳指導」です。7月の午前中は、ほぼ毎日水泳指導。普段の体育の水泳は大人数相手なのできめ細やかな指導がしにくいのですが、夏休みの特設水泳は希望者のみなので、個に応じた指導ができます。夏休みに頑張って水泳をしたおかげで泳げるようになった子も多いので、やり甲斐のある仕事です。
特設水泳は、7月だけでなく、8月3週目も行う学校が多いです。夏休みの水泳は、7月下旬に行われる区の水泳大会、8月下旬に行われる市の水泳大会の選手選抜とそのための練習も兼ねています(市の水泳大会は教師の「働き方改革」の一環として今年度で終了となりました)。
学校によってはこの時期に保護者との個人面談を行うこともあります。午前中水泳、午後面談です。
午後はほぼ毎日会議か校内研修
午後はほぼ会議か研修です。会議は主に行事や校内研究の準備や検討について。研修はいじめ、人権、安全児童理解などの理解についてが多いです。午後は会議が2〜3ほど入ります。
出張もとても多い
その中で最も重要で大規模なものが、「教育課程」です。各教科、領域ごとに開催され、各学校から代表者が1〜2名参加します。午前中は教育委員会の指導主事から、文部科学省や教育委員会の方針の発表があり、午後はその方針の基づいた実践やモデルプランの提案やそれに対してのディスカッションがあります。教育課程の開催後は、校内で報告会があります。
会議や校内研修と共に、出張も多いです。出張は主に「他の学校や教育委員会に行って会議や研修に参加すること」を指します。主に教科や領域(視聴覚、図書、特活、行事、給食など)の実践提案を元に話合いをしたり、全市の先生が集まって、教育委員会からの伝達事項や方針を聞いたりします。
役職についたり提案者になったりするとなお大変。
会議や研修や出張に参加するだけでも大変なのですが、それらの運営スタッフになったり、提案者になったりするとなお大変です。スタッフは研修を運営するための書類を作る必要がありますし、それを検討するための会議もあります。
また、提案者になるともっと大変です。夏休み前に行った授業実践をまとめ、提案文書にするのは相当な労力がかかります。これらの作業はほとんど時間外に行うことになります。作成した提案書類を検討する会議も入ります。
また、市の学力学習状況調査の作問委員になると、そのための問題作成や検討の会議に多くの労力がかかります。
夏休みは2週間
しかし、全く休めないのかと言うとそういうことはありません。元々夏季休暇は1週間なのですが、近年横浜市では、8月の1週目から2週目を「閉庁日」として、校内的にも対外的にも仕事を入れないことになっています。学校もその期間はお休み。学校に電話をしても留守電対応です。
夏季休暇の5日間と年休のまとめ取り5日間とそれに挟まれる土日で約2週間休めます。貴重な心と体と休める次期です。
以前は夏季休暇5日間はそれぞれの都合で決めていたので、会議、出張、研修は夏季休業中ずっとありました。閉庁日が設定されてから落ち着いて休める時期ができた代わりに、7月と8月後半が忙しくなりました。
事務処理が進む貴重な期間
夏休み中にしなくてはいけない大切な仕事に「帳簿の記入と整理」があります。主に指導要録の「学籍の記録」の作成をしたり、4月から6月にかけて行われる各種健康診断の結果を保険簿に転記したりする仕事です。
また、横浜市は2学期制の学校が多いので、若い先生はあゆみ(通知表)の文章をこの時期から考え入力することが多いです。
管理職は土日がなくなる
管理職にとって夏休み期間は地域との交流を深める時期です。町内会や自治会ごとに行われる夏祭りや盆踊り、バサーなどに参加します。地域行事の参加は秋になっても敬老会、秋祭り、地域の運動会、幼稚園や保育園の運動会と続くので、管理職は7月〜 10月にかけては土日はほどんど何かしらの地域行事に参加することになります。
非常勤講師は無職になる
これらの話はフルタイムで働いている正規採用職員や臨時任用的職員の場合です。非常勤講師は授業がある時期に時給で働いているので、授業がない長期休業中は「無職」になります。その時期何もしない人もいれば、他の仕事に従事する人もいます。
それでも普段の時期よりは余裕がある
いかがでしたでしょうか。「思ったより色々な仕事がある」と思ってのではないでしょうか。
それでも夏休みは授業をやっている時期より余裕があります。
夏休みが始まってすぐの土日に職員の親睦のために1泊2日で職員旅行に行く学校も多いですし、家庭科室に集まって料理を作って楽しんだりもします(費用は積み立てている親睦会費から)。
定時で帰れることが殆どなので、実践提案の提案者や作問委員などにならない限り、落ち着いて穏やかに仕事ができる時期とも言えます。
子どもがいる時期は、絶えず気を遣ったり心配りをしているので、いくら多くの仕事があったとしても、夏休みは教員にとって心と身体をリフレッシュする貴重な時期なのです。
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