立場上、初任者や初めて担任をする臨任に指導や助言をすることが多くあります。若い先生を見ていると「いい授業をしよう」という気持ちを感じるのですが、「授業以前のこと」で上手くいっていないことの方が多いのです。そして、そのことを具体的に指摘しアドバイスすると、見違えるように授業がよくなることが分かりました。
これらの経験から、これまで「当たり前過ぎて発信するまでもない」と思っていたことも、実はベテランのノウハウが詰まっていて、発信する価値のあることということが分かりました。
そこで、「授業」以前の「基本のキ」をシリーズ化し、若い先生に役立ててほしいと思います。また、中堅・ベテランの先生にも自分の指導を見つめ直すきっかけになれば幸いです。
子どもを見ずに指導書を見る先生が多い
若い先生を見ていると、「今日中にここまで授業を進めなければ」という意識がとても強いことが多いです。そのため、授業後に「どうだった?」と聞いたとき「予定通りに進められなかったです」と答える先生が多いのです。
しかし、先生は「授業」をしますが、その場の主体者は「学習」をする子どもたちです。進度より、子どもが理解し、主体的に活動することの方が大切です。
まずは子どもを見よう
「予定通り進めないと」という気持ちが強いと、授業中に指導者が見るのは教科書や指導書が中心になり、子どもを見なくなります。「授業を進める」より「子どもを見る」ことが大切です。
その時のポイントは
- 子どもがどこを見ているか(先生?発言者?よそ見?)
- 話を聞いているか
- 学習に集中しているか(違うことをしていないか)
ということです。
先生や発言する子どもの話を聞いていないのに授業を進めると、
「授業は聞かなくていい」「やりたい人だけやればいい」ということを認めることになってしまいます。
いくら時間内に授業が進んでも、指導内容が子どもに身につかなければ意味がありません。
最悪なのは、真面目に授業を受けたい子が、「真面目に授業を受けるのが馬鹿らしい」と思ってしまうことです。
学習に集中していない子どもがいる時は
- 話を聞く姿勢・態度ができるまで待つ
- 話を聞いている子に「話が聞けているね」と声をかける
- 話を聞くように、発言者を見るように促す
ようにして、子どもが話を聞ける、集中できるように支援してください。
子どもを見ると、授業が進むようになる
子どもをよく観察すると、
- 集中していない子が話を聞くようになるタイミング
- 話を聞いていた子の集中が途切れるタイミング
も見えてきます。そのようなタイミングで活動内容を変えると、子どもは飽きずに学習に取り組めるようになることも分かってきます。
そして、教師が子どもを見ることが、子どもが話を聞く、学習に集中できる時間が増えることに繋がるので、自ずと授業が効率的になり、自然と授業が進むようになります。
「授業を教師が進める」のではなく、「学習を子どもが進める」のが本来の姿です。「進めないと」「終わらせないと」という意識から離れ、子どもをよく見てください。きっと授業がスムーズに進むようになります。
※この記事がEDUPEDIAにも掲載されました。
https://edupedia.jp/article/60ec1f4c9e6a44000081b39e