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動画をお手本にスポーツが当たり前に
この前、近所の公園清掃のお手伝いに出かけたとき、仲のよい2年生の男の子が「空手をやってきた!」と教えてくれました。私が、どこで習ってるの?と聞いてみると家で習ってると話していました。オンラインで師範の動きや動画を見たり、自分の動きを撮影してもらったりしているそうです。「どこでも手軽に習い事ができるようになったな」と思いました。手本を見たければ、動画がいくらでもインターネット上にアップされていて、それを見ながらトレーニングをしている方がたくさんいます。
「デジタル体育」を使ってマット運動の授業
小学校の体育も一人一台iPadがあることにより、自分に必要な動画の視聴や自分の動きを撮りためていくことが容易にできるようになりました。5年生では光文書院の「デジタル体育(デジ体)」というアプリを使ってマット運動の授業を行なっています。
デジタル体育には、全ての技の手本動画が収録されています。先生が手本を見せるよりも、スロー再生ができたり、ポイント説明があったりするので分かりやすいです。
私は、マット運動が好きなので、よく手本を見せていましたが、子どもたちがどこを見ているのか、手本を見せている本人はよく分からないのです。以前は、イラストや写真などでポイントの説明をしていましたが、動画の方が圧倒的に分かりやすいです。
デジタル教材で協働的な学習
このデジタル体育を使って、どうやって協働的な学習を進めていくのかミニレッスンをしました。
まずは、子どもたちを集めて、私のことを撮影するようにお願いしました。デジタル体育の中に撮影機能があり、動画を撮りためていくことができます。私は、開脚前転をわざと失敗して見せました。子どもたちには、撮影した動画を見直して、何が失敗理由だったのか考えさせました。
- 「膝が曲がっている。」
- 「マットに手をつく位置が違う。」
- 「目線が違う。」
というように様々な意見が出てきました。
そこで、「それではどのようにアドバイスをすればよいのでしょうか?」と問いました。
中には、自分ができないのにアドバイスを求められることもあるでしょう。誰もが簡単にアドバイスできるようにデジタル体育では「つまずき動画」と「これで解決動画」が収録されています。
「つまずき動画」は、よく失敗するポイントが示されています。私が見せた失敗した開脚前転もここに収録されていました。
「これで解決動画」は、その失敗を解決するための動画がポイント付きで収録されています。
子どもたちに、その動画を視聴してもらい、私にアドバイスをするように求めました。アドバイス通りに行うと開脚前転を成功させることができました。子どもたちには、このように協働的な学習を進めていくように伝えました。
苦手な子への指導は教師の支援
先日の授業では、後転系を中心に行いました。後転系の技は、後転、開脚後転、伸膝後転、後転倒立の4つです。後転は、苦手な児童が多く、真っ直ぐ後ろに回れなかったり、膝で着地をしてしまったりしてしまいます。「これで解決!」動画と同じ場を用意して、苦手な子達と一緒に練習を重ねました。その子の動きを見て、必要な場を指示したり、ポイントを伝えたりするのは教員の役割です。その子の動画を撮影して、より具体的に伝えました。10分くらいの練習でほとんどの児童ができるようになりました。「やった!できた!」という声が嬉しいです。
できる子は協働学習のミニレッスン
さて、個別に教えていた子たちは、私が重点的に伝えられるのでよいのですが、他の子たちにはその分、支援が届きにくくなってしまいます。そこでいきてくるのが協働学習のミニレッスンです。友達同士で撮影した動画と手本動画を比べて、何度も練習を繰り返す様子が見られました。
協働学習のサイクルを子どもたちが自分で回せるようになると、なんとなく練習、なんとなくできたということが減ってきます。この日は、後転を苦手とする子たちを指導した後、発展技の伸膝後転を練習していた子たちを呼びまし、「これで解決動画」の方法で支援しました。
私が支援する前に動画を見て練習をしていたので、すんなりと動きを身につけることができ、発展技を成功させる子や後一歩のところまでできた子たちが多くいました。
振り返りはベストショット動画
授業の最後には、その日のベストショット動画を友達に紹介して友達からコメントをもらいました。ベストショットには、お気に入りの星マークがつけられます。単元が終わる頃には、最初の動画と最後の動画を比べることで、自分の成長を実感できると思います。
※この記事は、小学校教諭「イマシュン」さんの投稿です。
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